スリランカ、アーユルヴェーダの旅その3
バーベリン・アーユルヴェーダリゾートの滞在客には患者番号が割り当てられ、食堂のテーブルに医師と食堂スタッフとの連絡カードが置いてある。
患者のドーシャバランスや疾患について、コントロールダイエットかどうか、スペシャルトリートメントに備えてディナーは野菜スープとゆで野菜だけだよ!といった指示が飛ぶ(黄色いカードがそれ)。
食堂にはドクターやスタッフがウロついてて、体質的にNGな食事のとり方をしてるゲストに随時アドバイスをしている。
私はすっぱい水牛ヨーグルトに蜜がかかった「カード」という乳製品が美味しくて気に入ってパクパク食べてたら「次から量を半分にね」「毎食はダメよー」と言われた。
フレッシュスイカジュースを注いでる時も背後から「アナタは冷やしたらダメだから(スイカは体を冷やす)グラスに半分よー」と言われた。
それからテーブルには食事の際に服用するハーブ薬もセットされている。
ゲスト毎に処方が異なっていて、仲良くなった人のをいろいろもらって味見したけど、全部味が違ってた。
これらは医師とのコンサルテーションを経て指示されるんだけど、血圧測定や脈診、舌診、目や皮膚や髪や爪や歯の様子も見つつ、喋り型、呼吸や息の使い方、しぐさ、目の動きといった挙動までつぶさに見られているものらしい。
肉体的な話だけでなく精神的な、心理的な質問がでてくるあたりがアーユルヴェーダの特徴で、「言いたいことはなんでもすぐ言うか?」「親との関係は?」「よく泣くか?」「夢をみるか、覚えているか」といったことまで質問が飛ぶ。
もっとも時間を割くのはやはり「食事」「排泄」「睡眠」。これはアーユルヴェーダでも特に重要視してるため。
◆食事 →コーヒーがぶ飲み、寝起きでチョコ、食事抜いてもチョコ、夜中に食事、
◆排泄 →もちろん便秘がち!膀胱炎やりました!
◆睡眠 →足がつる、途中で目が覚める、寝泣きする(ここは念入りに質問された)
医師はかなーーーり驚き&呆れ顔。「白髪が増えてー、吹き出物もできてー、眼精疲労もすごくてー」と言えばいうほど、「そらそーだろ」といった感じの反応。
曰く、その時の私はアーマ(未消化物、アーユルヴェーダではこれを排出することのプライオリティが高く、放っておくと毒素になると考えられている)の塊だ!と言われた。それがメンタルにも影響を及ぼしている、及ぼし過ぎている!と。
とにかく排泄を促し代謝をあげること、食事を気を付けること、質のよい睡眠を適量とること(寝過ぎといわれた)・・・努力すべきことをどんどん細かく指示された。
毎日白湯を2リットル飲むこととネティ(塩水で鼻うがい)も必須。
中庭で本を読んでる時も、通りがかった医師に「おーい、白湯飲んでるかー」と言われ、傍らに白湯の入った魔法瓶を常に持ち歩くことになる。ヒマがあれば白湯を飲み、カラダの中をすすいでいく。
ちなみに初回のコンサルテーションではドーシャ判定はされない。まだゲストの体調やキブンが落ち着かない中で誤った判断を下してしまう可能性があるから、らしい。
さらに毎日決まった時間にハーブ薬の服用がある。ビンに入った液体や粉をギュッと丸めた超飲みにくいにがーいタイプ等あり、タイムテーブルと一緒に渡される。
毎日午後、自分の患者番号の棚にクスリが届いてる。液体はまだ温かかったりする。
みんなそれぞれ違う内容、量のハーブ薬が入ってて持ち帰って時間通りに服用する。
オイルはでっかい窯で何日も火にかけて処方してて、重労働だなーと思った。
薬剤師のえらい先生が煎じ薬を作ってるとこ。素焼きの壺を使うのが重要とのこと。
四方の壁にびっしりといろんなハーブがたくさん。貴重なものも多いらしい。
スリランカにしか自生しない植物などもあり、それらを調剤する工程がここ。
女性のドクター
何千種類というハーブやオイル、スパイス類がぎっしり管理されてる。
施設内では植物の栽培もしている。
私がお世話になったアロエちゃん。
私は初回の滞在時、あまり急激に活動的な生活をしてはいけないと言われた。なんでもほどほど、穏やかに過ごさなくてはいけない、と。
動き回ってはいけない、寝すぎてはいけない、本を読み過ぎてはいけない、食べ過ぎてはいけない、泣いたり笑ったり興奮してはいけない、体を乾かしてはいけない。
毎日呆れるほどたっぷり寝てるのに昼寝ができてしまう。滞在前半はとにかくいくらでも寝れて、仲良くなったドイツ人にも「あなたよく寝てるわねー」と言われた。木陰ののデッキチェアでぐうぐう昼寝してるとドクターに起こされて、いま熟睡してはいけないよ、風に長くあたってもいけないよ、と言われた。
とにかく穏やかに、静かに、内なる力(オージャス=生命エネルギー)を取り戻すべく毒素排出をまずは心がけなくてはいけない、と。
にも関わらず・・・
ここは黄金海岸という有名なサーフスポットの南に位置する海がきれいな街。部屋の目の前は海・・・やっぱりちょっと泳ぎたいじゃないですかー?水着ないけど、黒のブラ付きキャミとパレオ巻いてりゃ平気じゃないですかー?
ちょっとだけ・・・と海に入ったんだけど、それはとーーーっても気持ち良くて、嬉しくて、癒されるものだった。
が!しばらくして肩、二の腕、背中、胸元が真っ赤に腫れてブツブツと吹き出物がびっしりできてしまった。かゆいし痛いし見た目がキモイ。こんなのはじめてーーー!
慌ててドクターの部屋を訪ねたら、「キミは泳いじゃだめだよー、長く太陽にあたってもいけないといったよね?サンブロックはした?」等と言いながら先生は庭のアロエをポキッともいで、ちょっとこれ塗って!と渡された。
「ワイルドだなぁ」とアロエを塗ってたら、先生がスタッフの女の子に何か指示し、しばらくすると紙に泥みたいなペースト状の薬を塗ったものを持って戻ってきた。
炎症と痒みをおさえるから、と先生はドロ湿布に向かって短いマントラみたいなものをゴニョゴニョ唱え、背中、両肩、両二の腕、胸元にペタペタと貼ってくれた。
アロエは切り口を新しくすれば最後まで使えるから必要な時に使いなさい、もうあまり活発に過ごしてはいけないよ、君にオージャスが満ちるように祈るよ・・・と言われた。
生のアロエを片手に、ドロ湿布姿でとぼとぼ部屋を後にする私にスタッフの女の子が「アロエ、ナイスフェイシャルケアだよ!お大事にね!」と笑顔で声をかけてくれた。
わたしちょっと不真面目だったなー。
先生もスタッフもまじめに私の健康回復を祈ってサポートしてくれてるのに・・・残りの日々はちゃんと2リットル白湯も飲んで心身回復を目指そう!と思った滞在前半の出来事だった(続く)