身体のいいなり
しばらく疎遠だった古い友人から久しぶりに連絡をもらったら乳がんになっていた。
ヨガを教えて欲しい、というのがメインの依頼だった再会の席なのに、久しぶり過ぎてなかなか本題にならず、おばちゃんトーク炸裂でお互いの近況や知人の話を報告しまくり。楽しかった!
スラッとしたスタイルの良さは健在で、昔から「貧乳じゃなければ」とか「力士より小っちゃ」とか、酔うと(酔ってなくても)よく乳ネタを連発していて、そのことを持ち出すと「景気ワルイ乳ネタになったわーw」と笑って言った。
切除手術は少し前に無事終わり転移もなく、乳房は温存できていて、家族や周囲のサポートのお蔭で普通に仕事もしてるとのこと。一番しんどい時期はいったん抜けたのかもしれない。相変わらずサバけててチャーミングで、なんだか頼もしさを感じた。
そんな彼女はこの本を読んでヨガやりたくなったそうな。
※乳眼と診断されてから、なぜか心身ともに健やかになっていった闘病体験。
※働き盛りの女性に贈りたいオンナのカラダとココロの不思議に迫るエッセイ。
※講談社エッセイ賞受賞
以上、裏書きより。
で、わたしもさっそく読んだ。
著者の淡々とした語り口や客観的な視点や、「病も困るが貧乏はもっと困る」といった『病で死ねず、まだ生きていかねばならない、その現実でいったい何が大変か?』が飾らず真正面からレポートされていて、それがとても印象的だった。
わたしの父のように、もはや日常生活は無理!な病もある。でも生きている。
著者のように、日常生活は可能!な病もある。でも生きていく。
病を抱えて、限りなく健常者と(健康体の人と)同じように暮らしていかなければならない時、どういったことが起こるのか。どういった感情が沸き起こるのか。本書は乳がんの話ではあるけれど、誰の身にも起こる可能性を知る意味で、一読をオススメ。
また、ヨガを定期的に行っている著者が感じた効果や視点もたくさん綴られていて、けっこう参考になりました。
※後日談
彼女から 「わたしをいろいろ実験台ってゆーか勉強の素材にしていいからさー。オタフクコなら妙な同情や感傷ナシで、現実的にヨガを教えてくれそうだと思ったの。よろしくね!」と言われた。
うん、わかった。
ありがとう、よろしくね!
でもヨガをやるのはユーだよ。
そう答えたら、「そうそう、そーゆーことよねー、OK!」と彼女は笑って言って、その笑顔はほんとに素敵だなーと思った。