シェリルさんと南場さん

 

シェリル・サンドバーグさんは米フェイスブック最高執行責任者。最近来日されて、安倍総理との「いいね!」な懇談の記事がでてましたね。

 

グーグルでグローバルオンラインセールスおよびオペレーション担当副社長を務め、財務省主席補佐官も歴任した、2人のお子さんを持つ当代随一のパワフルリーダー。

 

LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲

LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲

 

 

こちらはDeNAの南場さん。

 

不格好経営―チームDeNAの挑戦

不格好経営―チームDeNAの挑戦

 

大前研一氏の元、マッキンゼーでびゅうびゅう大活躍をされるも、「横からクチだけだすコンサル」ではなく、「己でコトを成す事業家」に成るべくスパッと退職→DeNAを起業。インターネット事業を大きく拡大し上場。旦那さんの闘病のため社長職を退任したが、このたび現場復帰を果たされたこれまた相当パワフルなリーダー。

 

 

で、シェリルさんのメッセージは、「なぜ女性のリーダーは少ないのか?立ち上がれオンナ達!」ってとこ。TEDの記事がまとまってて読みやすいです →読むTED 

 

いっぽうの南場さんは著書で・・・

 

女性として働くこと 第7章「人と組織」 ~233ページ

自分が女性であることはあまり意識したことがないし、女性として苦労したこともまったくない。しかし得をすることはよくあった。 若いコンサルタント時代は特に一定の下駄を履いていたと思う。(中略)しかし、土俵にあがりやすい、ということを自分の実力と勘違いすると、不幸な顛末になってしまう。同様に、女性であることを振りかざして権利意識や被害者意識の固まりになると、単に厄介な人となる。

 

主張がわかれる2人・・・

 

そんな2人が最近行われたグローバル・ウーマン・リーダーズ・サミットで講演&ディスカッションしてて、対比が個人的に面白かったわけです。いいイベントだなぁと。 

 

 

◆グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット

→2人の講演とパネルディスカッション動画(Ustream.tv.日経チャンネル)はコチラ

→南場さんのテキスト書き起こしはコチラ(NAVERまとめ)

 

 

動画がオススメ。どちらの講演も素晴らしく、オモシロイ!と思ったらそれぞれの著書を読むともっと深く理解できてよいかも。この2人を含むパネルディスカッションも時間があればぜひ。

 

私は業界が近かったこともあり、ビッダーズ創業時から南場さんのメディア露出はよく目にしてたんだけど、歯に衣着せぬもの言いやいい意味での「ふてぶてしさ」がわりと好き。この講演や著書においてもやはり南場さんのメッセージにより強く共感したかな(強引だけどヨガに近い思想を感じたし・・・いや、やっぱ強引かな?w)。

 

性別も国籍も宗教も肌の色も、働くモチベーションもライフステージも何もかも違うメンバー達が、その「違い」や「ヒト」のことに足元をすくわれることなく、なすべき「コト」だけに向かって力を発揮しよう!てんでバラバラの個性で大きな夢を目指そう!というのが南場さんのメッセージ。

 

目の前の「コト」に集中し、圧倒的な「コト」を成し、その爆発的な喜びを燃料としてシンプルにドライブしよう、と。

 

女性が少ないからもっと女性を、有色人種が少ないから採用を、中途採用者が少ないから抜擢を・・・といった視点ではなく、「コトの達成」に必要なスキルベースで集まった人材の多様性こそが強いチームを作るのだ!という話(組織運営の話だけど)。クオータ制での選出なんてごめんだと個人的には思う。

 

で、この「コトを成す」がヨガっぽいなぁと思ったとこ。

 

やれ流派が違うとか〇〇先生の教えはどーだこーだとか、『誰に?』教わったかとかって『ヒト』ごと、あるいは『自分ゴト』に振り回されてウンザリ気味だったので、「そうだ・・・『誰が』『誰に』学んだかや評価されたかじゃなく、『何を』学んだかが大事なんだ。『コト(=ヨガ)』に集中し成せばそれでいいんだ。」と確信できてワタクシ的には大変よかった気付き。誰についていくとか誰に評価されるとか、ある意味どうでもいいことなんだよね。

 

もうひとつは「unlearning(学習消去)」について。

 

人は学んだことや実際に見聞きしたこと、体験したこと経験したことが「全て正しい、これが全てだ」と思ってしまう。「これは全体のほんの一部である」とはなかなか思えない。南場さんはコンサルとビジネススクールで得た知識が事業を成す上でジャマになることを痛感し、日々unlearningすることに苦心したと語っている。

 

意図的にせよ自然体にせよ、不格好をさらけだす南場さんの強さとしなやかさはカッコイイと思った。また、一見クチが悪いようにも見える独特のユーモアもどこかひょうひょうとして私はキライじゃない。全体を「コト」軸で捉えてるからこその客観的な語り口がクールで、ベタベタ暑苦しいカンジがなくこれまたよかった。 

 

南場さんの著書の多くは「これまでのDeNAの振り返り」が占めてるんだけど、人材育成や組織運営、トップの姿勢(任せること、退陣の仕方)等に触れられてて、ネット業界や南場さんやDeNAにさほど興味のない方でも一読の価値はある内容かと。

 

もちろんシェリルさんの著書もリーダーシップの書としては大変参考になる。彼女も率直で公正な語り口でとても親近感が持てた。どうしても男女対立の構図が気になるところではあるけれど、超ドメ企業に在籍しその文化をひしひし感じる私としては、シンプルに元気をもらえたのも事実。

 

シェリルさんの本はきっと、「結婚・出産・育児・介護」といったライフイベントごとに読み返すとまったく違った気付きや感想が得られるんだろうな、と思った。