心の健康を語ろう

 

ヨーガ療法学校では様々な疾患や症状について学ぶ中で、心身症や神経症、人格障害等の精神疾患についても取り上げていく。

 

生徒さんと向き合う際、「ふるまい」として許容できる範囲を(医療従事者でもないのに)安易に病理化したり、少し変わった反応を「症状」と切り取ることの危険性を感じていて、集中的にテキストや課題図書等でカバーしている最中。

 

以下は極めて簡略化した概要。

 

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■心身症と神経症はどちらも「心」が起因するんだけど、その症状の表れる先が「心身症は身体」で、「神経症は心」とそれぞれ異なる。神経症の人が「心の内側」で悩むのに対し、心身症は「身体の病気」に苦しむ(喘息、湿疹、偏頭痛、脱毛症、等)。

 

人格障害はある時突然起こるものではなく、もともとその人に備わった(身体の言葉でいえば)「体質」のようなものと考えられていて、以下のように分類される。

 

【A】  遺伝的に気質を持つ

①  妄想性人格障害・・・独裁者の病とも言われる、激情型

②  分裂病質人格障害・・・統合失調質パーソナリティ障害、自閉的

③  分裂病型人格障害・・・統合失調型パーソナリティ障害、A-②への移行あり

 

【B】  感情的な混乱が強い

①  反社会性人格障害・・・犯罪者に多いといわれる

②  境界性人格障害・・・神経症と統合失調症の境界

③  演技性人格障害・・・自己が中心存在でないと気がすまない

④  自己愛性人格障害・・・いわゆるナルシスト

 

【C】  不安や恐怖感が強い

①  回避性人格障害・・・不安パーソナリティ障害ともいう

②  依存性人格障害・・・甘えの強い性格によるもの

③  強迫性人格障害・・・秩序、ルール、完全主義にとらわれるもの 

 

■精神疾患(精神病)の主な特徴は、現実を吟味する能力の障害が起こり、通常の考えと違った認識を持ってしまう病態。「現実と非現実の区別が付かない」状態と言われている(日時、場所、人に対する認識「私は誰?ここはどこ?」)。幻覚や妄想がでてきて日常生活が困ってしまう状態が起こる病で、代表的なものが「統合失調症」と「抑うつ症」と言われている。

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ヨーガでのストレスマネジメントを目指し、療法的なアプローチを提供したいと勉強をする私にとって、正しい知識を得ることはとても大切。

 

机上の学問としてだけではなく、現実的な理解をも得る手立てはないものかと思っていたところ、ヨーガ療法の先輩から紹介された本がこちら。

 

ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)

ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)

 

 

いっき読みしました。読後にネットでいろいろ調べてたら、少し前にちきりん氏もブログでレビューされてたみたい→

 

詳しくはちきりん氏のブログやamazonレビューを参考にしてもらえればイイんだけど(手抜き?)、巻末で精神科医の解説があるのが非常に興味深かった。

 

解説によると本書は、罹患者の内面世界がどうなっているのか、幻覚や妄想がどのように生じてくるのかが客観的に描写された、非常に優れた記録とのこと。

 

なぜなら、精神疾患においては自らの病識が不十分な上に、冷静さや客観性を欠いた認知をしてしまうため記録自体を残すことが難しいらしい。病前と比較すると、思考力や判断力や論理的な推察力が著しく減退するため、複雑な心理現象を表現するのが困難になるらしい。

 

これについては、「ある統合失調症患者の書いた文章」が参考資料的に巻末の解説部分に掲載されててわかりやすかった。興味がある方は本をご覧くださいね。

 

著者自信が語るように、彼は人を傷つけず、自分の命もなんとか守り、「正しい発狂」と入退院をくり返しながら今は新潟のグループホームで暮らしているそう。

 

アニメーターとしての夢に燃える病前の(発症前の)状況も記されていて、病気と闘い続けた壮絶な記録でありながら、「ひとりの男性の青春記」のテイでもあって、最終章『障害があっても(352~354ページ)』のキラキラした力強さには心が震えた。

 

 心身・神経系・精神に何らかの支障を期す理由や原因は本当に様々で、何らかの事件や出来事、積もったストレス、わたしの父のように脳梗塞という別の病気がきっかけとなる場合も多く見られるらしく、いずれにせよ「自分も周りも気付きにくい」というのは共通してるとのこと。

 

私たちは運動機能や内臓・神経機能の健康については大っぴらに語ることはできても、果たして精神機能(って言葉はないと思うんだけど・・・要するに心の状態や思考の働き、感情の動きなど)の健やかさを目指すことについても同様にできてるのか?

 

タブー化したり気遣い過ぎることなく、正しい知識で向き合えるようになりたいな。