はい、泳げません
開き直ったようなタイトル
あっぷあっぷイラストと鮮やかな装丁
村上春樹氏による帯
全てが気になってまして
ようやく図書館で借りて読んだわけです。
ちなみに帯↓
わたしは著者の本は初めてでしたが
とにかく「へんてこハウツー本」としか
言いようがない面白さ。
水が怖いおっさんが
厳しい女性の鬼コーチのもとで
水泳を習う。
ただそれだけの内容。
泳げない理由
水が怖いこと
著者(いい年のおっさん)が熟考し
いろんな泳法技術を「頭で」学び、
「頭で」学ぶんだけど動作が伴わず
もんもんとします。
苦しくなってはプールの真ん中で立ち、
うまくできた!と喜んではまたプールの真ん中で立つ。
そのたびにコーチや仲間のおばさんらから
諸注意や叱咤激励やアドバイスを浴びせられる。
各章ごとに鬼コーチのコメントも記載されてて
その往復書簡?的なやり取りがまた笑える。
■苦しくなって途中で立ってしまう著者に
→立たない!なんでもいいから泳いで!
■呼吸にばかりこだわってしまう著者に
→呼吸しにプールに来てるんですか?泳ぐんです!
■苦しいんです・・・という著者に
→あたりまえです、みんな苦しいんです
筆致は非常にライトで読みやすいんだけど
何かしらの指導をする人にはけっこう深い内容です。
鬼コーチの指導っぷりがかなりイイんです。
高橋さん(著者)、まず大切なことは「泳ぐ状態」であって、「呼吸をすること」ではないんです。泳ぎ方をマスターしてからでないと、呼吸法はマスターできません。つまり、呼吸をするのは、泳いでる姿勢の時ですよね。立っている時に、いくら呼吸法を会得しても、意味ないんです。だから、まず「泳ぎ」、次に「呼吸」。
コーチ素晴らしいなぁと。
泳げ泳げ!と。
情熱的なんだけどしっかりロジカルで、
すべての体技法には精神論やド根性だけでなく
論理的な根拠が必要で、そのバランスが見事。
ヨガでも、マットの外での云々も大切でしょうが
まずはマットに立って
稽古!
練習!
修練!
鍛錬!
やる!とにかくやる!
アクション!プラクティス!実践が全てなわけです。
コーチはレッスンごとに脚の使い方、腕の使い方、
体軸の捉え方、呼吸、様々な視点で指導していきます。
かと思えば突然「泳いではいけません!」とか
どこも動かさずに浮け!浮くだけ!みたいな
ちゃぶ台ひっくり返しインストラクションをしたり。
そんなコーチの指導を生徒たちは
「先生が進化した」と表現します。
言うことがコロコロ変わるよね~、と。
これ、
ヨガでもピアノでもサッカーでもなんでも
何かを誰かに教える立場の人ならわかると思うけど
わざと変えてるんですよね、言い方を。
生徒の進度、レベル、状態に応じて
同じ動きをさせるにしても
言い方を日によって変えてるわけです。
「何度同じことを言ってもわからない人には違う言い方をする。一つの動作について、十通りくらいの表現はあります」
と鬼コーチも本の中で言うておられます。
この本、何の役に立つのかさっぱりわからない、と
村上春樹氏はおっしゃってますが(笑)
少なくともわたしはこれ読んでプールに行きました。
のろのろ150Mくらいは泳げたかな?
無性に泳いでみたくなったんですよね~。
なんとも表現しがたい不思議な本ですが
最後に、わたしも含めて、世の全てのコーチ達の思いが
記された文章があったので引用します。
レッスンを終えてここを出る時、来た時よりも心も体も「いい調子になっている」。そうなればいいなぁって、わたしはいつも思ってます。
わたしも思ってます^^
あっぷあっぷしてるイラストも可愛い↓
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